Eテレの日曜美術館で大原美術館を特集していた、と知ったのは放送終了後。
見逃した…
倉敷の大原美術館は、私の絵画鑑賞の出発点といえる場所だ。
建物へのアプローチからすでに別世界にまぎれこんだような非日常感にあふれているのだけれど、当時はそれほど特別なこととは知る由もなく。
どこの美術館もそういうものだと思っていた。
大原の代名詞のようなエル・グレコの受胎告知、ゴーギャンのかぐわしき大地、その他モネ、モローなど、頭も心も柔らかい10代のうちに観ていた事、今思えば幸運だった。
でも、当時圧倒的に記憶に残っていたのはそれらの西洋の絵画ではなく、別館の工芸館に所蔵されていた棟方志功の版画の数々で、薄暗い蔵のような建物に…と記憶しているけれど、実際どうだったか定かではなく…びっしりと展示された作品を前に、ただただ呆然としていた。
今そこに行っても同じように圧倒されはしないかな。
あの年齢で、予備知識もないまっさらな状態で、いきなり目に飛び込んできたからあんなに驚いたのではないか。
同じような体験がウィーンでもあった。
大学生、初めての海外旅行でクリムトの絵を観た時。
自分のイメージしていた『音楽の都ウィーン』と官能的なクリムトの作風がにわかに結びつかなくて、衝撃的だったなぁ。
去年だったかクリムトの回顧展が東京で開催されたけれど、多分ウィーンで出会った時ほど感動できないような気がして観に行かなかったのだ。
大原美術館と聞いて思い出した、二つの出来事。
大原美術館のホームページによると
今、存続のためにクラウドファンディングを行っているそうだ。
私設の美術館にとって長期間にわたる休館は死活問題、なんとか持ちこたえてほしい。
12/13の再放送は見なくては。