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12月はてんこもり その1

新年おめでとうございます。

すっかり年が明けきってから、やっと昨年末の振り返りをば。

 

発表会やコーラスの本番が終わった12月は心置きなくコンサートやセミナーを楽しむつもりでおりました。

 

一番楽しみにしていたのは20年ぶりのクリスチャン・ツィメルマンのリサイタル。

サントリーホールでの公演日が2日あり、両方聴けそうな日程、というわけでお財布事情によりリーズナブルな席でしたが2公演とも聴くことに。ツィメルマンのリサイタルはプログラムの発表が遅いので購入時には曲目がわからないのが恒例、結果的に同じプログラムを2度聴くことになりました。

 

ショパン ノクターンから4曲

ショパン ピアノソナタOp.35

ドビュッシー 版画

シマノフスキ ポーランド民謡の主題による変奏曲Op.10

 

ピアノの大屋根の奥、ほぼステージ背面のP席に近い私の席はツィメルマンの顔がよく見える珍しいポジションでした。この方向からピアニストを見ると呼吸や体幹の移動なんかがよく見えてついついそちらも気になってしまう…。いやツィメルマンの演奏姿は変わらず美しかったです。

 

2公演通して感じたのは、やっぱり彼はスターなんだなぁ…ということ。

プログラムの大きな流れの中でグッとトップギアに入れる瞬間、満場の聴衆を一気に引き付けてしまうミラクル。

特に初日の公演は客席の集中度も高く、前半のショパンのソナタ第2番の葬送からフィナーレの流れは心を奪われるものがあり…。あっけにとられたまま休憩へ。

プログラム後半、ドビュッシーの版画は予想よりさらりと、一瞬のきらめきを残して終わり、さあメインのシマノフスキの変奏曲へ。

版画を弾き終えていったん袖へ戻り、再びステージ袖の扉が開いたとき(袖からの出入りも良く見える席でした)ツィメルマンが胸の前で十字を切っているのが見えて思わず胸が熱くなります。シマノフスキの途中、葬送のヴァリエーションがあり、あぁこのプログラムは葬送がテーマなのだなと理解しました。

解説によるとこの葬送はシマノフスキの葬儀でオーケストラによって演奏されたとのこと。

 

この曲をツィメルマンのライブで聴くことができて感謝…。

 

 

ポゴレリッチを2023年の1月に聴いたとき、彼が作曲家に心の内を語っているプライベートな場に居合わせてしまった…的な不思議な気分になったのですが、ツィメルマンはその場に「あなたたちも一緒にどうぞ。」と手を広げて、、実際両手を広げて観客の拍手に華麗に応えてた、、招き入れてくれるような感じ。

 

偶然ポゴレリッチはショパンの3番、ツィメルマンは2番のソナタをプログラムに入れていて、どちらのソナタも緩徐楽章がクライマックスだと改めて感じたのでした。

 

その2につづく予定。